私の想いを…

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匠くんがゆっくりと紡ぎ出す言葉を聞きながら、私の瞳からポロポロと涙が溢れた。でもそれは、今までとは違う喜びの涙だ。 私は匠くんの広い背中に腕を回し、ギュッ!と抱きついた。匠くんも私の背中に腕を回し、抱き寄せてくれた。 「私も!私も匠くんが大好き!いろんな勘違いをして、何度も匠くんの事は諦めようと思ったけど…どうしてもできなかった。私、このまま誰ともお付き合いできずにおばあちゃんになるんだと思ってた。だからもう、これからはずっとずっと匠くんの傍にいる!匠くんがダメ!て言っても離れないから!!」 そう一気に言って、匠くんの胸元で深呼吸をした。私の大好きな匠くんの香り。同じ柔軟剤やシャンプーを使っていても、やっぱり私とは違う。とってもホッとする香り。 顔を上げて匠くんを見ると、少し頬が赤く染まっていた。 「匠くん、顔が赤い……照れてる?」 「美羽のせいだから」なんて言って、照れくさそうに匠くんが笑った。 「でも匠くん……さっきの匠くんの言葉、まるでプ、プロポーズみたいで、私、舞い上がっちゃったよ!」 私も照れくささを隠すように、わざと笑ってそう言った。すると、匠くんの顔がさらに真っ赤になった。何、何?どうしたの、匠くん? 「ん、そうだよな……『付き合って』て言う前にプロポーズって、俺、余裕なさすぎ……」 右手で目元を覆いながら、最後の方はずいぶんと声のボリュームも落ちていた。 「っっ!!」 「美羽も言っていた、上司に見合いを勧められた時。あの時、まだ三才だった美羽とした結婚の約束がふいに頭の中を過って……深く考える前に『結婚の約束をした人がいる』て断っていた。……俺、上司に嘘を吐いたんだ」 自嘲気味に笑う匠くん。 私はまたもや、匠くんの身体にギュッ!と力を入れて抱きついた。
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