私の想いを…

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視線を逸らしていた匠くんが、再び私を見つめた。 思い出せっ!思い出すんだ!……あの日、ヒロくんに送ってもらった。途中から、ヒロくんの機嫌が悪くなって……それから…… 「ああっっ!!わかった!コンタクトだ~!」 視線を上方向に向けて、必死に記憶を手繰り寄せ、なんとか辿り着いた…はず。 「コンタクト?」 表情のない匠くんに、大きく頷いた。 「みちるちゃんとヒロくんに、レストランとカラオケでお祝いをしてもらって。帰りは家までヒロくんが送ってくれたの。ヒロくんが帰る為に玄関の扉を開けて、その時、私のコンタクトがずれちゃって……」 「ずれる?…コンタクトが目から外れて落ちるんじゃなくて、目の中でずれる?」 匠くんが、訝しげな顔をする。視力がよくてコンタクト経験のない匠くんには、ピンとこない事なのかも。 「そう!黒目からずれるの。よく見えなくなるし、鏡で確認しなきゃどこにずれたのか、自分じゃよくわからなくて」 匠くんのきれいな瞳を見つめながら、一生懸命に説明する。 「だからね……」 ソファーを立って、隣に座っている匠くんのすぐ斜め前に立ち、匠くんの両肩に私の両手をそれぞれ置いた。匠くんは、軽く目を見開いた。 「その時もヒロくんは、こうやって顔を近付けて、私の目の中のずれたコンタクトを探してくれたの」 軽く目を見開いたまま、私を見上げる匠くん。腰を屈めて、グッと匠くんの顔に近付く。匠くんの瞳には、必死に話す私の顔が写されている。 ……このまま、あと数センチ動いたなら匠くんとキスしてしまいそう……そんな事を思いながら、息をつめるようにして匠くんと見つめあった。 「美羽……わかったから……」 匠くんが呟いて、ハッと我に返る。匠くんの声は、少し掠れているようだった。 「納得してくれた?」 慌てて匠くんから離れ、ソファーに座る。自分の気持ちをごまかすように、明るく言った。
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