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「そのうち、
お金が出来たらね」
「金か……あ、
見送りはここまでだ。
濡れちまうからな、
その、
きれいな服」
ぎこちなく褒められて、
私は照れた。
ざあざあ降りの中、
傘を差して帰る圭介をしばらく見送る。
それから陰気な家の中を振り返ると、
またちらちらと手招きが見えた。
後日、
圭介が修理にやって来た。
「いつもありがとう」
「いいよ。
ところで、
今日お父さんは?」
「今日は仕事に出てるの」
「そっか。
屋根全体の修理の話だけど、
補助金が出そうだよ。
安くしとくし、
話をしたいとお父さんに伝えておいてくれる?」
私は、
答えに詰まりそうになった。
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