夢を旅する捻くれ者よ

夢を旅する捻くれ者よ

おまえは今日も道無き道を
一人で歩いて見せたのか

ブラックホールの奥深く
寂しさ悲しさ押し込んで
近付いた人間全てを丸め
小さな街灯引っこ抜き
誤魔化しの光を当てるのか

夢を旅する捻くれ者よ

おまえは今日も何も食べずに
一人で動き続けたのか

食を嫌いと言いながら
食を前に涎を飲み込み
箸の持ち方も汚いままに
白ご飯に口を付け
やっぱり駄目だと戻すのか

夢を旅する捻くれ者よ

おまえは今日も何かを想い
一人で上向き眠るのか

夢を現実と見比べて
何もない拳を握っては
自らの頬を殴りながら
駄目だ無駄だと気付きながら
それでも前に進むのか

夢を旅する捻くれ者よ

おまえは今日も誰かを想い
一人で上向き眠るのか

壁から出ている図太い縄を
腰に何度も結び付けては
飛び出す為に膝を曲げ
目を閉じ口を閉じ耳を閉じ
全てを閉じて飛び出すのか

夢を旅する捻くれ者よ
夢を旅する捻くれ者よ…
夢を旅する捻くれ者よ……

返事をするのが勇気だぞ

夢を旅する捻くれ者よ
夢を旅する捻くれ者よ…
夢を旅する捻くれ者よ……

認めることが勇気だぞ

夢を旅する臆病者よ
夢を旅する臆病者よ…
夢を旅する臆病者よ……

小さく「はい」と呟けば
それでようやく愛される
人は自分の旅路を振り返り
おまえを重ねて暖かな目になる

おまえのおまえなど
誰一人求めていない
誰もが其々のおまえを
しっかり抱えて愛している