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え、待って?もし、もしだよ!!
もしこれが夢じゃないなら、こんなに……こんなに嬉しいことって、生まれて初めてかもしれない!!!なんて思う。
「ほ、本当に?本当の本当に?」
「なんだよ」
「私と映画、本当に行ってくれるんですか?」
目をキラキラと輝かせて、何なら今すぐ泣けと言われたら本当に泣けちゃうくらい嬉しい私に、
「気が変わらなかったらな」
少しだけ目を細めて、蓮見さんは意地悪な顔して告げた。
あぁ、どんな顔をさせてもイケメンはイケメンのまま崩れることを知らない。その余裕な顔に焦りを滲ませることが出来るのはどんな大人の女なんだろう。
やっぱり、私なんか蓮見さんと比べたらお子ちゃまなのかもしれないな。だけど、お子ちゃまはお子ちゃまなりに、蓮見さんのことを誰にも負けないくらい想ってるんだってこと、
どうしたら蓮見さんに一つ残さず伝えられるだろう。
「蓮見さん!本当に本当に大好きです!土曜日のデートを楽しみに、今週死ぬ気で働きますね!」
「……デートじゃねぇけどな」
こんだけいい雰囲気にさせといて、今更そこだけ否定しなくてもいいじゃないですか。とは思いながらも私の頬はゆるゆるに緩みきっていて
「蓮見さんとデートなんて浮かれすぎて駅のホームから落ちそうです」
「……笑えねぇこと行ってねぇでさっさと行け」
蓮見さんのツレない言葉に引き止めたのはあなたです、と胸の中で反論してみる。
赤羽 香恵、23歳。
今なら、電車にひかれても死なない自信があります。
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