012.目撃者に沈黙を(1)

5/5
前へ
/48ページ
次へ
「な、何なんだぁ?!」  警備員が店から出ると、ミニバンは原型が分からない程、激しい炎の塊に変わっていた。  店内に引き返した警備員は消防に通報し、消火器片手に再び駐車場に戻った。 「わあっ!」  火元に向かうべく店外に出た途端、甲高い音を立ててロケット花火が飛んで来た。とてもじゃないが近づけない。  ちょうどその時、惨劇の脇の市道を青いミニバンが通りかかった。車は少し通り過ぎた路上で停止し、しばらくその場に留まった。  しかし消防車のサイレンが響いてくると、慌てたように走り出し、遠ざかっていった。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加