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美しい銀髪がしゅるしゅると伸びたかと思うと、法師の両手、両足、首に巻き付いた。
次の瞬間。
妖狐の鋭い爪が法師の首を引き裂いたのと、法師が呪を唱え終えたのはほぼ同時だった。
法師の喉元がぱかっと裂け、大量の血が噴き出すのと同時に、凄まじいつむじ風が巻き起こり、銀髪の妖狐の体を包むように覆う。
「くっそっ!
法師めっ!
ちくしょ~っ!」
つむじ風に巻き取られるようにして、妖狐は法師の持っていた封じの赤い石にすいこまれていった。
皮一枚でつながった法師の頭がぼとりと地に落ちるのと同時に、頭部を失った体が地面へと叩きつけられるように倒れ、その手から赤い石が転がった。
静寂が戻った境内で、ただ石は鈍い光を放っいた。
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