第1章 解かれた封印

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第1章 解かれた封印

 「でねぇ、なんかよくわからないけどぉ~、(きょう)と付き合うことになったんだよねぇ~」 「まじで? でも、匡と綾香(あやか)ならまぁ、お似合いだよ~」 「えー? そうかなぁ~」 ホームルームが終わった騒がしい教室での女子トークの輪の中で、兎蒼(とあ)は倒れそうだった。 兎蒼が中学からずっと想いを寄せていた、同級生の有馬匡(ありまきょう)と付き合うことになったと、得意げに話している桜井綾香(さくらいあやか)こそ、昨日まで兎蒼に匡への告白を勧めていた本人だからだ。 __なんなの・・・これ・・・。 __昨日までの綾香はなんだったの? 混乱するを通り過ぎ、既に頭の中は真っ白だ。 兎蒼はふらふらしながら、女子トークの輪を抜けるとかばんを持って校門へむかった。 __ちょっとまって・・・ __整理しなくちゃ・・・ 歩きながら額に手をあて、昨日までの事を思い起こす。 『ねぇ、兎蒼。 諦めちゃだめだよ。 絶対大丈夫、匡に告るべきだよっ 匡絶対、兎蒼に気があるって!』 兎蒼はふと足をとめた。 昨日まで兎蒼にそう言っていた綾香の笑顔が頭に浮かぶ。 「よくわからないけど、匡と付き合うことになった・・・?」     
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