第1章 解かれた封印

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ついさっき教室での綾香の言葉を思い出し笑顔と重なった。 「なんで・・・?」 気を抜けばそこ場で座り込みそうになるのをぐっと耐え、なんとか足を前へ進める。 校門が視界に入ったとき、そのすぐ脇にある食堂で仲良く寄り添い匡の腕へと自らの腕を絡ませた綾香とばっちり目があってしまった。 「・・・・嘘・・・でしょ・・・」 綾香は兎蒼に気が付くと、笑顔で手を振ってきた。ひきつった顔で何とか笑みを浮かべそれに応えるように兎蒼も手を振った。 __私・・・なにやってるんだろ・・・・ 兎蒼は自分自身が情けなくて、そんな自分に心の底から腹が立った。 __こんなときでさえ、へらへらと笑いながら綾香に手を振り返しているのは・・・私自身だ。最低だ・・・・。 ぐっと奥歯をかみしめた時、手を振る綾香の視線を辿った匡がふいに兎蒼へと視線を向けた。匡と目が合う一瞬前、兎蒼は走り出していた。 そのまま校門を出て、目的もなくただ走り、そのまま学校近くの根津神社の境内へと入った。。 とにかくひとりになりたかった。 大きな鳥居を潜ると走るのをやめ、右手に稲荷と沢山の鳥居を見ながらよろよろと歩を進めると、ちょうど座ってくれと言わんばかりの丁度良い石があった。 兎蒼はふらふらとその石に倒れこむように座った。     
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