偉大なる精霊って知ってるか?

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偉大なる精霊って知ってるか?

       *  ドラえもんがのび太君の前に突然現れたのと同様に、ココペリも僕の前に突然現れた。学校に通わなくなり始めた当初、親を心配させまいとかそういう深い意味を持っていたわけではないが、僕は学校に行くふりをしていた。まぁ、それがばれた今は成績が下がっていないという理由で黙認されているので、あまり意味はなかったのかもしれない。意味がなかったと言えば、学校に行かなくなったことにも、特別な意味や理由はない。なんとなく行かなくなった。  初めのうちは学校に行かず、美術館に行ってみたり、博物館に行ってみたりを繰り返していた。それに飽きると、電車に乗り、学校がある駅を通り過ぎた知らない町に行ってみようと思った。だらだらと乗り、なんとなく下車し、知らない駅の近辺を散歩する。  知らない町は新鮮だった。自分が訪れなければ、そこは僕が一生知るはずのない場所なのだと思うと、この行為がとても有意義なものなのではないかと感じられた。  知らない商店街があり、知らないパン屋があり、知らないスーパーがあり、知らない人たちの生活がそこにはあった。ただ、なんとなく寂しくもあり、不思議な憤りを感じる。     
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