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ご両親が心配してるだろ、とか学校の先生が、とか言ってくるのだろう。げんなりしながら身構えていたら、彼はクイズの答え合わせでもするかのように勿体をつけて言った。
「そう、大自然の力だよ。お前は大自然の力のおかげで、飯を食い、勉強できるのだ」彼は得意げに右手の親指で自分を指差している。だから私に感謝しろと言わんばかりの威勢だ。
僕は、怪訝な顔をしながらそれを聞き流していると、段々話がそれていき、彼は自分のルーツをぺらぺらとしゃべり始めた。
「万物の裏には、私たちみたいな自然の偉大な力があるわけだ。わかるか?」
「さっきから何を話してるのか、全然わからないよ」
「つまり、宇宙を総べる普遍的な偉大な力であり、自然界の万物の調和をもたらしているのが私たちだ」
彼は僕の顔を見ると、出来の悪い生徒でも見るかのように、やれやれと溜息を吐いて首を横に振った。それに合わせて五センチほどのトサカが揺れている。
「学校を休んで、ぶらぶらしているからわからないのだ」
「学校でそんなことは習わないよ」
彼が再び、ネイティブインディアンの自然信仰や、妖精や精霊云々の説明を始めようとしたので僕は慌てて止める。これ以上言われても混乱するだけだし、理解できるわけがない。
「じゃあ、君は神様とかそういうのなわけ?」
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