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「だから魔凛。協力しといて損はない。ここの国の財政が破綻したら宇宙連邦に行けばいいさね。就職口を用意してくれる」
「そこは保証しますよ」とネヴィル。
応接間に電子音が鳴りネヴィルが携帯に出る。携帯の外観は小さく銀色だった。暫し話したあと携帯を操作し、操作しながら私に言った。「バッグ持ってきてくれます?」部屋の隅に置かれてあったバッグを取りにいく私。持ち上げてみるとそのトートバッグは重たかった。口を開いてみると写真集が詰まっていた。いろんな種類の写真集。ネヴィルのそばに持っていき一応訊いてみる。「見ていい?」「はい」旅行記的なもの、自然を扱ったもの、観光地、古典絵画画集もある。現代美術、神社仏閣、都会の風景、ポップアート、街角の落書き、駅や列車の落書き、いろんな国の建築物…こんなに沢山。車の写真集もある。
「地球の資料ですか?」
「殆ど同僚や上司へのお土産ですよ。言語がわからなくても写真なら誰でも楽しめる」
ネヴィル側の出発の準備が整い、しかし私には準備の時間をくれはしなかった。「宇宙船に行けば何でも揃ってますからご心配なく」と言われてもわけがわからないというのが正直な気持ちだ。
「ではデンケル、お孫さんをお借りしますね」
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