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「魔凛にああは言ったが本音を言えばやりたくはないさね。危険だし何より信用はしておらん。あんたは違うだろうが利用できるところは利用してあとは知らんという輩もおるじゃろ」
「まあ大きな組織ですから」
「だがあんたは信じとくよ。無事にこの子を帰しておくれよ。…で魔凛。知っておいてほしいことがあるんだ。魔凛の魔は、魔力の魔…戒めとして覚えといで。あんたは一族の誇りと力の結晶なんだ。赤子のあんたには最初から魔力があった。あんたは魔力を持って生まれてきた。だからあたしは…あたしも勇夫も覚悟しておったんだ。いつか誰かがあんたを連れに来るってね。…行っといで。行って見せてやんな、あんたの力を」
私は言葉を発することができなかった。いろんな気持ちや考えや今までの出来事が頭の中で爆発していて、何もできなかった。お別れすらも。ネヴィルは何も言うことなく私と自分を宇宙船の内部らしき空間まで運んだ。白い空間に長椅子があったのでそこへ行って座り、とりあえず私は涙を流した。泣いたわけではない。流れて、私の涙。そうすることでともかくは落ち着けるはず。だから自分にそう言い聞かせていたのだ。
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