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明美は口をへの字に曲げ、
返事をした。
「あんたが茂り過ぎなのよ」
それから明美は一心不乱に蔓を切り続けた。
庭はどんどん整理された。
翌朝目覚めると、
明美の髪は伸び、
六畳の寝室は黒い海のようになっていた。
「かあたん、
お姫様みたい」
幼い娘の麻耶は喜んだが、
夫の俊二はのけぞった。
「なんだお前。
お姫様かつらか」
「痛い。
引っ張らないで。
地毛よ」
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