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思い当たることとして、
明美は昨日、
西瓜の蔓から聞こえた声の話をした。
「うわっ、
西瓜の呪いだ」
「かあたん、
西瓜のお姫様なのね」
「変なことを言わないで。
何でもないわ」
明美は平静を装い、
自分で髪を切った。
「こんなことで、
容赦したりしないわよ」
明美はその日も庭の手入れを続けた。
庭には、
雑草も点々と生えていた。
「よし。
少しずつ抜くとしますか」
すると、
柔らかい葉をかじっていたチキチキバッタが顔を出し、
明美を見上げた。
「抜かないで」
明美は瞬きしたが、
険しい顔で返事をした。
「抜くわよ。
全部よ、
全部」
それから長い時間をかけ、
全ての雑草を抜いた。
汗だくになり、
腰も痛くなった。
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