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数週間後に、
黄緑色の大きな西瓜が一つ実った。
むき出しの実が、
夏の日差しの下でギラギラと光っていた。
それなのに、
近隣のカラスは食べようとしなかった。
「かあたん、
これ食べようよ」
麻耶が涎を垂らしそうな顔をした。
「うーん、
また変なことが起きないかしら」
思案する明美を俊二が止めた。
「だめだ。
これは形も変だ。
また呪われるぞ」
「じゃあ、
あなたが捨てて」
「嫌だ。
お前だって恐いだろ」
明美は鼻息を荒くし、
答えた。
「まさか。
私は全然、
恐くなんかないってば」
明美は重たい西瓜を収穫し、
包丁で切ろうとした。
ところが、
出刃包丁すら通らなかった。
とうとうのこぎりを持ち出し、
切った。
その断面を見た俊二が大声を出した。
「あっ、
これ干瓢だ。
お前、
干瓢姫だ」
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