終電車

3/5
前へ
/5ページ
次へ
 並んでいる商品をひやかしているうちに酒は売っていないかと期待してしまい、それだからいかんのだと自分を叱ってみたが、幸いにして酒は置いておらず、ホットティーを買って構内に戻った。  明日の朝まで仮眠をとりながら待つしかなさそうだ、と私はティーをすすった。  どうやって改札をくぐったのか、いつもの習慣で電子改札を電子マネーカードを入れた財布を当てて通ったのだろうが、日をまたいでしまうとどうなるのだろうと心配になった。  ティーを飲み終えると、そのままごろりと横になった。スーツを着たままなのでいかにも寝心地が悪い。スーツ姿のまま酔いつぶれているサラリーマンの姿を見ることがあるが、あのみっともなさと似たり寄ったりの姿を自分がさらしているかと思うと、酔いがますます醒めてきた。  ふと、気配を感じた。  電車が来る?  少し早すぎないだろうか。そう思いながら起き上がり、ホームに出てみた。  まだ電車の姿は見えないが、音と振動が近づいてくるようだ。   また気づかないうちに眠っていたから時間の感覚がずれていたのかもしれない。  そう思っているうちに、電車の明かりが近づいてくるのが見えた。  バカに早いな。こんな時間にから始発が走っているのだろうかと思ってまた時計を見てみた。 (あれ?)  時間が表示されていない。寝ころんだ拍子にぶつけたのだろうか。     
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加