第1章 母の存在

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第1章 母の存在

「お母さん!見て見て!」 はしゃぎ回る私。 「早く!早く!」 手を招いている。 それから、母のところまで走り、母の手を握り、引っ張った。 そして、母を連れて行く。 「綺麗だね!」 「うん!」 無邪気な笑顔を母に向ける私。 その私の表情に母は、微笑んだ。 その時だった。 「あっ!なんか、流れたよ!」 私は母を見る。 「流れたね!」 「あれ、何?」 「流れ星だよ」 「流れ星?」 「そう」 「へーぇ」 「…流れ星はね、流れている間だけ、お願い事を一つだけ叶えてくれるだよ」 「お願い事?」 「そう」 はーぁと私は星空のほうを見る。 「また、流れないかな?」 「うーん、どうだろうね」 「…」 私は、流れるのを待った。 「あっ!光った!」 「そうね」 「…あっ!でも…」 「どうしたの?」 「お願い事、言うのを忘れちゃった」 「また、きっと、流れるよ」 「うん!」 「あっ!結衣!」 その時、流れた。 私は、慌てて、手を合わせ、お願い事を口にした。 「お母さんが幸せでありますようにって」 「…」 「お母さんは、お願い事、できた?」 「…うん」 「なんて、お願い事したの?」 「結衣が幸せでありますようにって」 まだ2歳という小さな存在の私は、母に微笑みを向けた。     
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