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人はどうして、恋をするのだろう。
きっと何億もの人が、それぞれの人生の上で幾度となく繰り返してきたであろうその問いを、わたしも胸の中で繰り返す。
家門さんとふたりして何事もなかったかのように帰路についたのは、気持ちが高まりすぎているせいだった。
本当なら淀川通から住宅地への通りに入ったくらいで、手くらい繋ぎたかった。
けれど、いつどこで誰が見ているかわからない、というのはわたしも経験済みだ。
家門さんは独身だけれど、そういう問題ではないことは理解している。
それだけじゃない。
触れずに並んで歩くことによって、より彼の存在をそばに感じた。
心臓の音が一音一音強く高鳴っていく気がして、呼吸が苦しい。
──機を待つことも、大人の大事なたしなみ。
白い息を吐きながら、今まで考えたこともなかったことに思いを巡らせていた。
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