高鳴る魔女

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   いくらか冷静になった今ならわかる。  虎太郎さんはなかなかに思い込みの激しい人だ。  この間わたしがのこのこついて行ってしまったのが悪いのだけれど、こちらから連絡しようものなら、また関係の続きを始めるつもりになるだろうと思ったのだ。  それに、日時を勝手に決めてしまってもいいのだろうか。  智久さんはいっしょに来てくれる、と言ってくれたけれど。  それならなおさら、一番気にしなくてはならないのは彼の予定だと思うし……。  5軒目の、最近名前を覚えてくださった個人商店の奥さまと軽くお話をして、会社に戻ろうとしたとき、ポケットのスマホが震えた。 「はい、鈴木です」 『スズメか。俺』 .
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