202人が本棚に入れています
本棚に追加
優しさを含んだその声に、ふと最初のことを思い出す。
『──毛先、スズメの尾っぽみたいやないです?』
スズメの尾とか、羽とか。
そういう言いかたでなく、この人はあの時“尾っぽ”と言った。まるで小さな子どものつたない言葉遣いのように。
確かに、小さな鳥の尾っぽは可愛い。
一度彼のことが見えると、前は不可解だったことさえ微笑ましくなってしまう。
「……カモンさんだって、考えかたによってはかっこいいですよ。ちょっと感覚が古いけど」
『あほう。ちょっとどころやないわ。めちゃくちゃ古いぞ、そのセンス』
「すみません」
『あほな話してる場合やないわ。東京本社からお前あてに伝言があったらしいが、聞いたか?』
「え?」
.
最初のコメントを投稿しよう!