高鳴る魔女

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   優しさを含んだその声に、ふと最初のことを思い出す。 『──毛先、スズメの尾っぽみたいやないです?』  スズメの尾とか、羽とか。  そういう言いかたでなく、この人はあの時“尾っぽ”と言った。まるで小さな子どものつたない言葉遣いのように。  確かに、小さな鳥の尾っぽは可愛い。  一度彼のことが見えると、前は不可解だったことさえ微笑ましくなってしまう。 「……カモンさんだって、考えかたによってはかっこいいですよ。ちょっと感覚が古いけど」 『あほう。ちょっとどころやないわ。めちゃくちゃ古いぞ、そのセンス』 「すみません」 『あほな話してる場合やないわ。東京本社からお前あてに伝言があったらしいが、聞いたか?』 「え?」 .
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