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「とりあえず警部、聞いてあげようか?何がわかったんだい?」
視線だけ警部の方に向ける。と警部は自信満々の態度で答える。
「犯人は彼女だ!」
「……」
千早の実に冷たい視線が警部に突き刺さる。
「警部殿、話を聞いていたかい?」
「もちろん!」
聞いているわけがない……。
「彼女が犯人だという根拠は?」
「千早さんがここへ駆け込んできたときに彼女しかいなかったのでしょう!」
「……」
「う、千早さん、目が怖いですよ」
「警部殿。早急に結論を出すと名警部の名前を汚すよ」
千早は怯える彼女を落ち着けるために背中をなでた。
「彼女は気絶していた。しかも立ったままでね」
「あり得ない!」
「それがあり得るのだよ、警部殿。」
彼女の顔をちらりと見た後千早は言った。
「もし警部の言うとおり彼女が犯人だったとしよう。殺害後、私が現れる。普通どうする」
「愛をささやく!」
「というのはギャグだと思っておくとしよう。ふつう逃げるだろう。もしくは逃げられないのであれば窮鼠猫を噛むという状態だとして……」
「抱きつく!」
「攻撃を仕掛けるのが一般的な感情だと思う」
これで警部は真剣に答えているのだから、頭が痛くなる。
「ところが彼女はずっと立ったまま、微動だにしなかった。」
「あたし……」
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