1 神降千早の事件簿 その壱

7/18
前へ
/131ページ
次へ
少女はしょぼんと肩を落とした。 「あたしはさっき言ったとおり動揺すると気を失う体質みたいで……。女の人がいたか、いなかったかなんて……」 「では質問を替えよう。」 人差し指をくるりとまわしながら、千早は尋ねる。 「君は三等車の人間だろう。何で一等車にいる?」 「友達を探していて……」 「さっきもそう話していたね」 「女学校の友達なんです。私、仙台の実家に帰ろうと思って……。そしたら遊びに来てくれるっていうから一緒に汽車に乗って……」 「それから?」 「そしたら一等車が見たいって突然言い出して、彼女言い出したら聞かないものだから……。 途中停車したの大宮の駅でこっそり忍び込んだんです」 「なるほど、あそこで倒れているのは友達だったわけか」 それならばいっそう衝撃も強かろう。彼女が立ったまま気絶してしまうのもわからないでもなかった。 「それでなかなか戻ってこない友人を探してここまで来たのか」 「そしたら倒れているから……うっ」 「つらいことを思い出させてごめんよ」 優しい声で桜子に呼びかける。 「それじゃぁ、君は休んでいて。私がその犯人を見つけてあげるから」 ポンポンと肩を叩く。すると彼女は少しだけほっと安どの息をついた。 「さてと」     
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

193人が本棚に入れています
本棚に追加