1 神降千早の事件簿 その壱

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「そして二人で食堂車へ向かう途中、私は忘れ物……、警部殿よりいただいた真珠のネックレスを忘れたことに気づいて、私一人が取りに戻った。」 えぇえぇ、あれは今回の旅を記念して造らせた特注品です。またもやそんな言葉は無視した。 「私が取りに帰った時には、部屋に異常はなかった。私は宝箱をきちんとしまって、部屋の鍵も きちんとかけて出てきた。それを君は疑うかい?」 「千早さんの愛を疑うことなんてありませんよ」 「そしてこの部屋は誰もいなくなったわけだ」 「ミステリーですねぇ」 感心している場合ではない。 「そもそもこの人はいつ侵入したんでしょうか?」 「もちろん、私が取りに戻った時にはいなかった。つまり、その後だろう」 「では、なぜこの女学生は私たちの部屋で死んでいるのでしょうか?」 「……」 「もし、そこでうずくまる彼女が殺人事件の犯人ではないのなら、いったい何が起きたのでしょうか!僕は疑問ですよ!」 警部の言葉を受けて、わずかな間を置いた後、千早に面白そうににやりと笑った。 「なかなかに、面白いことを言い出すじゃないか。警部殿」  確かに、それは一番大事なことであった。 「あ、いえいえ。見たところ凶器らしきものはありません。もしかしたらただの事故かもしれませんよ、千早さん!そう!」     
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