1 神降千早の事件簿 その壱

11/18
前へ
/131ページ
次へ
「といったところで、今度は私の推理でも聞いてもらおうか」 「はい!もちろんです。その美しい声で私は幸せの園に連れて行ってください!」 いつもいつも不真面目に見える彼を、千早は無視して御高説を述べることにした。 「まず犯罪者は二人いると思う」 「と言いますと?」 「一人はこの少女」 「しかしこの少女は被害者では?」 「まぁ、状況を見たまえ」 促されて警部は部屋を見渡す。 「私たちが滞在していた時と大きく違うところがあるだろう」 「死体があります」 それはそうだ。 「……他には?」 「装飾品が転がってますね」 「その通り……」 千早はあえて客室に足を踏み入れ、それらが入っていた箱を取り上げて彼に示す。 「これは私のだ」 「ほとんどが私の贈ったものです」 「そうだったね。しかし、別人の血がついてしまったよ」 「改めてまた、贈りますよ」 「それはありがとう。けれど今、それは置いておこう。この状況、私は一つの見方ができると思う」 「それは?」 警部は死体を指さしても気づかないようなので、千早はその疑問点をあえて口に出して教えてやる。 「彼女は私のサファイアのネックレスをしっかりと握っている」 「これは先日、僕が贈ったものです」     
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

193人が本棚に入れています
本棚に追加