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「といったところで、今度は私の推理でも聞いてもらおうか」
「はい!もちろんです。その美しい声で私は幸せの園に連れて行ってください!」
いつもいつも不真面目に見える彼を、千早は無視して御高説を述べることにした。
「まず犯罪者は二人いると思う」
「と言いますと?」
「一人はこの少女」
「しかしこの少女は被害者では?」
「まぁ、状況を見たまえ」
促されて警部は部屋を見渡す。
「私たちが滞在していた時と大きく違うところがあるだろう」
「死体があります」
それはそうだ。
「……他には?」
「装飾品が転がってますね」
「その通り……」
千早はあえて客室に足を踏み入れ、それらが入っていた箱を取り上げて彼に示す。
「これは私のだ」
「ほとんどが私の贈ったものです」
「そうだったね。しかし、別人の血がついてしまったよ」
「改めてまた、贈りますよ」
「それはありがとう。けれど今、それは置いておこう。この状況、私は一つの見方ができると思う」
「それは?」
警部は死体を指さしても気づかないようなので、千早はその疑問点をあえて口に出して教えてやる。
「彼女は私のサファイアのネックレスをしっかりと握っている」
「これは先日、僕が贈ったものです」
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