1 神降千早の事件簿 その壱

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「何と恐ろしい!して、犯人は!?」 きっと警部は殺された少女の友人である桜子を見る。 彼女は友人が殺されただけでもキャパシティーをオーバーしている。そのうえ、殺人犯扱いをされて、不安と恐怖のあまり泣きそうになっていた。 「犯人?さぁ、誰だろうね」  千早流の弔いの儀式を終えた後、指に血がついたことなど気にした素振りもなく、千早は部屋の前の廊下にいる警部の元に戻った。 「でも、私は怖くなんてないよ。警部」 「……なぜですか?」 「今まで私たちはたくさんの事件に巻き込まれてきたけれど、いつだって最後は警部の名推理ですべて解決に導いてきたじゃないか。……私はこう見えて、警部殿には期待をしているんだ」 「千早さん!」 感激のあまり抱きついてきた警部を千早は何でもないといった風にするりとかわす。 こういう癖だけはぜひやめていただきたい、彼の欠点だと千早はひそかに思っている。 「さて、これからのことだが……」 千早と警部は部屋を出た。 「あ」 桜子は逃げることもなく、ちゃんと座って二人を待っていた。いや、ただ、腰が抜けていただけではあったのだが。 それでも、彼女が犯人ではないという確信を持っている千早はここで一つの提案をした。     
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