1 神降千早の事件簿 その壱

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「桜子さん。これから僕たちと一緒に行動を共にしないかい?」 「えー!」 誰よりも驚いたのは千早の予想通り警部だった。 「なぜにそんなことを……?我々には高崎で重要な使命が……」 「おそらくこの事件で汽車は止まるだろう。東北本線全線といってもいいだろう。そしたら彼女は実家にも帰れないし、東京にも帰れないことになってしまう」 「確かにそうですが……」 頭をフル回転させて、警部も反抗する。 「彼女はこの事件の重要参考人ですよ。高崎警察署に送還した方が……」 「その場合、事件に居合わせ、かつ優秀な警部殿は高崎警察署から協力を要請されてしまい、この先、私と共に榛原(はいばら)(はいばら)氏の邸宅に行くことはできない。つまり私たちの旅は終わる」 「えー!」 先ほどより大きな声で警部は叫ぶ。彼にとって大事なのは目の前の殺人事件より、千早との旅行である。 「それによく考えてみたまえ、警部殿」 千早は背伸びをして、小さな声で警部に耳打ちをする。 「彼女は第一発見者で重要人物で、今現在もっとも殺人の犯人を疑われる人物だろう?」 「えぇ、まぁ」 うさぎのように震えるか弱い少女が背後から友人を襲ったなど、にわかには信じがたいが」 「彼女が一緒に連れて行けば、事情聴取も思いのまま」     
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