1 神降千早の事件簿 その壱

16/18
前へ
/131ページ
次へ
「そう言われましても……」 「殺人事件を颯爽と御一人の力で解決する警部殿、かっこいいわ」 かっこいい、かっこいい、かっこいい、かっこいいいいいいいい! 耳の奥でかっこいいのフレーズが強く反響する。そして、 「まぁ、いいでしょう。彼女の身柄はこの鳳凰院静流が承ります!」 千早といっしょに居たいがために、ただ彼は許可した。 まぁ、彼の貴族としての名声を使えば、地元警察の連中は言うことを聞かざるを得ないだろう。 警部殿は了承させた。次に説得すべきは桜子である。 「警部の言った通り、君には殺人の疑いがかけられている」  その事実をかみしめて、彼女はぎゅっと唇をかんだ。 「このままならば、警察署に送還されてしまうだろう。私としては、警察の留置所はあまりお勧めしない」 「……」 「だから私たちと一緒に来ないか?」 何を考えているか。桜子が見ず知らずの千早を疑うのも無理はない。 「私は君を助けてあげたいんだ」  彼女を正面から微笑みを向けてやると、彼女は顔色を変えた。 「……わたしを?」 「そう君を……だ」 「……なぜ?」 「君は殺しなんてしていない。……私にはわかるよ」  その言葉にさくら子ははっとした。     
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

193人が本棚に入れています
本棚に追加