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「そう言われましても……」
「殺人事件を颯爽と御一人の力で解決する警部殿、かっこいいわ」
かっこいい、かっこいい、かっこいい、かっこいいいいいいいい!
耳の奥でかっこいいのフレーズが強く反響する。そして、
「まぁ、いいでしょう。彼女の身柄はこの鳳凰院静流が承ります!」
千早といっしょに居たいがために、ただ彼は許可した。
まぁ、彼の貴族としての名声を使えば、地元警察の連中は言うことを聞かざるを得ないだろう。
警部殿は了承させた。次に説得すべきは桜子である。
「警部の言った通り、君には殺人の疑いがかけられている」
その事実をかみしめて、彼女はぎゅっと唇をかんだ。
「このままならば、警察署に送還されてしまうだろう。私としては、警察の留置所はあまりお勧めしない」
「……」
「だから私たちと一緒に来ないか?」
何を考えているか。桜子が見ず知らずの千早を疑うのも無理はない。
「私は君を助けてあげたいんだ」
彼女を正面から微笑みを向けてやると、彼女は顔色を変えた。
「……わたしを?」
「そう君を……だ」
「……なぜ?」
「君は殺しなんてしていない。……私にはわかるよ」
その言葉にさくら子ははっとした。
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