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普通の人ならこの人物に対して戸惑いを覚えるだろう。しかし、この青年は違う。
名門華族、鳳凰院家の六男坊。鳳凰院静流(しずる)ならば。
「そう言って僕をまたかどわかすんですね!」
ひと際大きな声で彼は告げる。
「こんなにかわいい子が女の子でないはずがない!」
凛々しさとかわいらしさを併せ持つ相手を相手そういってのける。
「声高らかに言おう!千早さんは可愛い!」
「ありがとう」
そっけなく礼を言ってから千早と呼ばれた人物は、
「それはともかく、あまり大声を出しては他の人に迷惑だよ」
「お、千早さん!今日はバラのコロンですか?優雅でよろしいですな!」
人の話を聞いてない。
それも千早にとっては慣れたもので、
「良く気付いたね」
「千早さんのセンスの良さは抜群ですな!」
「そうかい?」
「もっとも千早さんならば薔薇でもチューリップでもバターでも!どんな香りでもお似合いでしょう!」
「それは褒められたととるべきなのかな?」
普通は4驚くようなことでも千早は眉一つ動かさない。あくまでも優雅にふるまう。
「それにその真珠の首飾り!」
「あぁ、これかい?せっかくの旅行だからね。君からのプレゼントを一つ身に着けてみることにしたよ。」
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