スーツアクトレスin ダンジョン

プロット

アランが回復次第、町長の家に帰すつもりでいたが事情が変わった。

町長の一連の行動を見ると、全てはマルデア達をアラモへ行かせ、何としても『ウルヴァンフォーレの石』を手する為に仕組まれた罠としか思えない。

その時、一同の話を何の気なしに聞いていたジェインが突然叫んだ。

「『ウルヴァンフォーレの石』はお父さんの研究テーマだよ！」

彼の話では『ウルヴァンフォーレの石』は誰も実際に目にした者はなく、石というより高エネルギー体であり、気体か液体かも判然としない。

発見できたとしてもとても人間が持ち出せる物ではなく、その管理は神族や魔族の高位の階級でなければ不可能だというのだ。

だが、マルデアはここである事実に気づく。

あの時町長は「サファイアより蒼く、ダイアモンドより光り輝く宝玉」と言った。

その時の彼の表情は、あたかも眼前にその石があるかのような真剣さだった。

町長は実際に『ウルヴァンフォーレの石』を見た事があるに違いない！

だがジェインはマルデアの意見に懐疑的だった。

長年研究してきたパラケルですら１度も実物を見た事がない事。

人間の町長が魔窟の最下層にある石を見たとは到底考えられない事。

そして何よりパラケルでさえ、模造品を作るだけで精一杯だった事を挙げる。

模造品という言葉にそれはどんな物かと尋ねるマルデア。

するとジェインは「ここにあるよ」とニッコリ笑ってシャツを捲る。

彼のおヘソのないお腹を無言で凝視する一同。