『15歳』あの時ああすればもっと。

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15歳の春、高校を退学になった。 中学のツレと呑めもしないバーボンを呑んで、酔っ払ったあげくに乗れもしないバイクに乗って事故り警察に捕まったのが運の尽きだった。 警察から高校に連絡が入り事は公に。 そして退学に。 しかし大した絶望感も無く、毎日夜な夜なあまり出来が良いとは言えない友達皆んなでバイクに乗って遊んだり、酒を呑んだり、当時流行っていたバンドブームに乗っかってライブしたり、彼女はいたし、それなりに楽しい退学生活を送っていた。 ただ、 無職だった。 「ねえ、金ちゃん働かないの?」 彼女の香織ちゃんが缶ビール片手に煙草を吹かしていた僕をいつに無く不安そうに問いかけてきた。 「あー、、そのうち、、」 僕は面倒くさくて言葉を濁し俯いた。 香織ちゃんも申し訳無さ気に俯いた。 正直あの時の僕は焦っていた。 香織ちゃんにこのままじゃフラれるんじゃないかという不安。夕方、目が覚めて寝ぼけ顔で頭ボサボサのまま煙草を買いに出かけると高校生になり制服姿で下校してくる昔の友人達に、 「よ!金田!」 と声を掛けられ自分が何やら無様な気がする。 自然と彼等を避けるようになった。
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