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神代高校は全寮制だ。家がご近所さんでも全生徒が寮に入る。
長期休暇の際は補習がなければ実家への帰宅が許されるが、申請しなければ三年間、寮にいられる。食事も風呂もあり、僕にはもってこいだ。
神代でなければ、あの牢屋から高校に通わなければいけなかっただろう。
午後五時になり、廊下が賑やかになる。夕食の時間だ。食堂は玉も玉使いも共同で使用する。源ちゃんに会えるかもしれない。
僕は勇んで玉使いの寮内にある食堂へと駆けた。
食堂へとあがる下駄箱で、襲われていた女と遭遇した。
ぎこちなく俯かれる。
声をかけずに他の生徒に紛れた。
食事はビュッフェ形式でトレイを持って好きな物を好きなだけ食べられる。名前もわからない料理がいくつもあった。
「源ちゃん……」
周囲を見回す。
全員が私服で統一感がない。
神代はネクタイのラインの色で学年を把握するのだが、それも身につけられておらず、脳みそが疲労するだけで源ちゃんを探し出せない。
「すみません。先に進んでもらえますか?」
ポニーテールの長身の女に言われ、僕はトレイを手にした。
腹は空いていない。
筑前煮と白米、わかめの味噌汁とタクワンをチョイスし、離れ小島のようになっていた席に座った。ここなら、食堂全体がよく見える。
母の味付けではない料理を体内に浸透させながら、視線を動かした。
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