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気づけば日は傾き、光の色を変えていた。
「夜になるわね」
リサが頭上を見上げる。
木の葉の重なる下へいるので、日は沈みきらなくとも、既に辺りが暗くなり始めていた。
「また野宿かな」
タシャが苦笑し、今度は石の上でなくて良かった、と加える。
「どうかな」
クリストファーが呟いた。
「試験は中止になるんじゃないか」
タシャは、わからないと肩をすくめてみせた。
「マルコ」
木々の間に人影を見つけ、リサが声をかける。
彼は、浮かない顔で口を笑う形にしながら、片手を挙げてそれに応えた。
お疲れ、とタシャも声をかける。
マルコは荒い動作で地に腰を下ろし、栗色の髪をぐしゃりとかき上げた。
「マルコ」
その苛立った様子に、クリストファーが眉をひそめる。
「試験はこのまま続行だそうですよ。オレには全く訳がわかりません」
吐き捨てるように、彼は仲間へ報告した。
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