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「あたし達は大丈夫だよ」
タシャがマルコへ言う。
「何の根拠があって言い切るんだよ。また化け物に遭遇しちまう可能性だってあんだろ」
不安と極度の疲労が彼を苛立たせ、語気を荒くした。
「もうしないと思うわ」
食事を分配しながら、リサが静かに口を開く。
「タシャもリサも。根拠なんてないんだろ」
マルコの拳が握られる。
「あるわ」
リサが、彼を真っ直ぐに見据えた。
「あたし達、試験じゃ死なないって言わなかった?」
食事をしながらタシャが話す。
「でも、死にそうな目には、遭う」
左肩を支えられたクリストファーと、支えるマルコに、戸惑いが浮かんだ。
「だからつまり」
彼女は水を一口含む。
「あの化け物も試験の一部だったってわけ」
何かの術で生き物みたいに見せてたんじゃないかな、とリサが補足する。
「いや、クリス坊っちゃんは死ぬかどうかの大怪我を……」
「だが、僕の近くには癒術師がいた」
クリストファーがマルコを遮った。
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