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そう、とタシャは頷く。
「崩れる瓦礫は致命傷を与えない。猛る獣にも、負った傷にも、必ず何かしらの打つ手がある」
マルコは唖然とした。
「それを、パニックに陥らずに見つけられるかどうか」
クリストファーが、なるほどと呟く。
「あたし達はこの試験区でのそれを、もうクリアしてる。だから……」
「じゃあ何で」
マルコが強い口調でタシャを遮った。
「オレが試験官を呼んだ時、何で1人は化け物を追い掛けてったんだよ」
リサがくすりと声を漏らし、マルコに睨まれた。
ごめんなさい、と彼女は笑顔で言う。
「多分、あなた達が思いのほか、よくやり過ぎたのよ。だから制御が効かなくなったんだと思うわ」
だってマルコの腕ってすごく正確なんだもの、とまた彼女は笑う。
マルコは呆然とし、本当なのかよ、と呟いた。
「多分、ね」
リサとタシャが声を揃える。
クリストファーが大きく息を吐いた。
「考えたところで僕達に答えは出せないだろう。試験官のみぞ知る、だ。それよりも早めに身体を休めよう」
はあ、とマルコが呟き、一同はクリストファーの言に従った。
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