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リサの眠りは、いつになく深かった。それだけ彼女は疲労し、休息を求めているということは、誰もが容易に想像できた。
「坊っちゃん、よく眠れましたかね」
「いや、あちこちが痛んで」
「オレも、何か緊張が抜けなくてあんまり……」
「ねえ、リサ起こした方がいいよね」
朝日は既に充分な高さまで昇っている。
山頂までの道のりを考えると、そろそろ活動を開始したいところだ。
一同の視線が、規則正しい寝息を立てるリサへと集まる。
「リサ、朝だよ」
タシャが、躊躇いがちに彼女を揺する。
「リサってば」
全く目覚める気配のない友人に苦笑しながら、少し強く揺すってみた。
言葉ではない声が、眠る彼女から漏れる。
その様子を見たクリストファーがマルコに耳打ちをし、首を傾げながらもマルコがリサへ歩み寄った。
そして、彼女の耳元で声を上げる。
「負傷者1名重傷、至急処置っ」
リサは、弾かれたように身体を起こした。
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