4名の受験者

13/21
前へ
/162ページ
次へ
 リサの眠りは、いつになく深かった。それだけ彼女は疲労し、休息を求めているということは、誰もが容易に想像できた。 「坊っちゃん、よく眠れましたかね」 「いや、あちこちが痛んで」 「オレも、何か緊張が抜けなくてあんまり……」 「ねえ、リサ起こした方がいいよね」  朝日は既に充分な高さまで昇っている。  山頂までの道のりを考えると、そろそろ活動を開始したいところだ。  一同の視線が、規則正しい寝息を立てるリサへと集まる。 「リサ、朝だよ」  タシャが、躊躇いがちに彼女を揺する。 「リサってば」  全く目覚める気配のない友人に苦笑しながら、少し強く揺すってみた。  言葉ではない声が、眠る彼女から漏れる。  その様子を見たクリストファーがマルコに耳打ちをし、首を傾げながらもマルコがリサへ歩み寄った。  そして、彼女の耳元で声を上げる。 「負傷者1名重傷、至急処置っ」  リサは、弾かれたように身体を起こした。
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!

179人が本棚に入れています
本棚に追加