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「何だタシャ、君のペアはクイの全てを把握しているのかい」
クリストファーが若干細めの目をしばたたいて、タシャへ尋ねた。
しかしタシャもまた、その問いの答えを持ち合わせない。
「制服よ」
リサが薄いそばかすの頬で笑った。
リサには、クイの卒業生である友人が2人いる。
1人は剣術師、そしてもう1人が精霊師だ。
ペアは、入学と同時に2人組を作る、クイのシステムだ。
クイでの生活に於いて、ペアを組んだ相手とは運命共同体と言っても過言ではない。
片方が劣れば、もう片方も足を引っ張られる。
3年の間、訓練も寝食も共にする相手だ。
リサは、精霊師の友人が初等部の頃、学期末試験に不合格となり、それによってペアであった剣術師の友人の夏季休暇も失われたという話を何度も聞いていた。
リサの言葉を聞いて、タシャは納得の顔を見せた。
彼女は、リサからクイの卒業生である2人の友人の話を、幾度も聞かされているのだ。
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