第1章

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 名古屋の地下鉄名城線の終点に、名古屋港と言う駅がある。ここの駅の2番出口の階段を上ると、時々猫をみかけるのをご存知だろうか。  猫達は階段の両端にいて、真ん中はどうやら人間の為に開けているようだ。  初めてこの光景を見たときはとても驚いた。  私は、生まれてこのかた犬を飼ったことはあるけれど、猫は飼った事がなくこんなに間近に見る機会はめったになかった。  だから、猫に対してどう接したらよいかわからないので、最初のうちはただ通りすぎるのが精一杯だった。  今日こそは猫に話かけてみよう。ふいにそんな考えが頭をよぎった。  やはり猫の世界でもいろいろ上下関係があるだろうから、一番のえらいボスに挨拶かな。でもボスってあの中では誰だろう。  そんな事を考えているうちに、いつのまにか2番出口の階段に到着していた。  階段を上りきると、猫達は集会を開いていた。たぶん、奥にいる白い猫がボスだろうな。 「こんにちは、今日は集会ですか」私は、白い猫に話しかけた。 「そうです」白い猫は、私に特に驚くまでもなく淡々と返事した。     
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