第1章

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「最近、挨拶をしない子供たちが増えてますね。僕を見つけても無反応な子供達ばかりで寂しい限りです」 「何が原因かと思われるかね?」黒猫長老が訪ねる。 「おそらく、スマホだと思われます。時代の流れと言われればそれまでですが、大人も子供も皆下を向いてスマホばかりに夢中でどうしたものかと思われます」 「ふむ。スマホね。わしもスマホ持っているから、夢中になる気持ちは分かるぞ。でも皆が下を向いているあの光景は何度見ても異常じゃな。せめて子供たちだけでもなんとかならんものかね」 「そうですね。どうしたものか」  猫達が一斉に悩み始める。  こんな事を話し合っていたとは!人間の世界の事まで心配しているなんて何て頼もしい存在なんだ! 「あっ、丁度今日素晴らしい人がいるではないか」白い猫が私を見て言った。 「人間のあなたから見て、この問題どう思うだろうか?」突然訪ねられて私はびっくりした。  大勢の猫達の目が一斉に私に注がれる。人間の目とは違い鋭い視線がこちらにそそがれて、ちょっとどぎまぎした。  どうしよう。急に意見を求められても、気の利いた言葉が浮かばない。手に変な汗が流れる。     
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