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高校卒業後、私達はそれぞれ通っていた高校の大学へと進んだ。
斎を始め、蘇芳館テニス部が誇ったアイドル集団ともいえるメンバー全員は蘇芳館大学へ、そして私と杏奈は神崎女学院大学へ。
学部はそれぞれバラバラだったけれど、事あるごとに集まってテニスに打ち込んだり、一緒にテスト勉強をしたり、休みには旅行に行ったりと、充実した学生生活を送っていた。
幼馴染を卒業した私と斎は付き合い始めたとはいえ、それまでの関係性が大きく変わったわけじゃない。
それでも、幼馴染でいた頃とは違うこともたくさんある。
皆と一緒にいる時は基本的に以前と何ら変わらない。
でも、二人になると斎は不意に変化する。
見つめる視線に熱を帯びる。
引き寄せて、大切なものを扱うかのように私を抱きしめる。
そのくせ、独占欲を露わにするかのように息もできないほど何度も口づける。
斎は相変わらず女子に大人気だったけれど、私自身も驚いてしまうほど一途に想ってくれていた。
元々周りを気にしない性格で、女子の視線もどこ吹く風で全く相手にしていなかったようで、中等部からの付き合いの他のメンバーに言わせると、相変わらずだねってことらしい。
そんな私達もいよいよ最終学年になり、就職も決まって落ち着いたということで、久しぶりに皆で会おうということになり、小洒落た個室ダイニングでお疲れ様会が開かれることになった。
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