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「物心ついてからだから、10年は余裕だな」
「え……」
バッと斎を見上げると、斎は少し遠い目をしていて、昔を懐かしんでいるようだった。
嘘でしょ……?
私なんて、自分の気持ちの変化にも気付かず、自覚したのは18の時だったんだけど……。
背中に変な汗が流れる。
私って実はものすごく薄情な女なんじゃ……。
「篠宮は意外とノリノリだけど、舞さんはどうなの?」
「え!?」
藤代君に声をかけられ、ハッとする。
今度は皆の視線が自分に集まっているのがわかった。
私はフゥと軽く深呼吸をする。
ここで逃げられるわけなどない。それはもうここ何年かの付き合いで嫌というほどわかっていた。
私は覚悟を決め、皆を見渡しながらこう言った。
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