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高校を卒業する前、私を想ってくれた人がいて、その人が私の気持ちを無視した時にどうなるのかを尋ねた時、斎はゾッとするような視線を相手に向けた。
その時は本当に寒気がするほど怖かった。切れ味鋭い刃物のようで、向けられた相手がゴクリと息を呑むのがわかった。
それほどまでに想ってくれていること、大切にされていること、斎からはいつもそういった気持ちを貰っている。
私はそれを返せているんだろうか。
そして、私が斎を誰よりも大切に想う気持ちは届いているんだろうか。
そんなことをふと感じることがある。
「どうした? ぼんやりして」
少し心配そうに私の顔を覗き込む斎に笑みを向け、私は首を横に振って飲み物をオーダーした。
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