prologue.

4/4
前へ
/354ページ
次へ
私がアメリカへ行く日、怪我をして、病床にいたから見送りにいけなかったと、いまだに寂しそうに言う。 「もう、怪我はなんともないの?」 『もう1年以上たってるし、平気。元気だよ』 「そう」 『雅が帰ってくる日は、ごちそう作らなきゃ何食べたい?』 「んー。じゃあ和食がいい。アメリカジャンクフードばっかで飽きた。清水さんがたまに日本食作ってくれるけど、やっぱ日本のごはんが一番いいね」 『ふふ、わかった。じゃあ雅の好きな煮物とお味噌汁作っておくね』 そういわれ、帰るのがいっきに楽しみになる。 『そういえば、田島君と連絡とってる?』 「取ってるよ。電話しろしろうるさいし、かけなきゃかかってくるし」 『ふふ、相変わらずいいコンビだね。田島君もきっと早く帰ってきてほしくてうずうずしてるだろうね』 「えーどうだろう」 うずうずされてもなぁ。 『雅が禁煙しろっていうから、田島君最近なに口にくわえてるか知ってる?』 「なに、なんか咥えてるの?」 『お菓子のシガレット』 思わず、想像してしまい吹き出してしまう。 なにそれ、ちょっとウケる。 「ってか、禁煙してたんだ。ちゃんと」 『雅には恥ずかしいから言うなって言われてたんだけど、雅にちゃんと禁煙してたよって言っとこうかなって思って。言っちゃった。僕が話したって内緒ね?』 律儀だなぁ。 てっきり我慢できなくなるとおもったのに。 それするなら少しはだらしがない生活見直せばいいのに。 『まぁ、そういうことだから。明日、気を付けて飛行機に乗って帰ってくるんだよ?』 「わかった」 『じゃあ、きるね。お休み、雅』 「おやすみ、明弘」 ツーツーと規則正しい機械音が聞こえ、そのまま携帯を置く。 はぁ、1年間長かった。 日本に帰れば、仕事してなかった分取り返さないと、体も軽く鈍らないように動かしてはいたが絶対鈍ってる。 ベッドへ寝転び、ふぅっと息を吐く。 明日、ようやく日本へ戻るんだ。
/354ページ

最初のコメントを投稿しよう!

87人が本棚に入れています
本棚に追加