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「風鈴草」
風鈴に似た、小さな紅花つける風鈴草――
私もその一輪。
高原のゆるやかな野に、
あなたと私、
ゆらゆら風にゆれて。
あなたはぎこちなく、
愛でる言葉紡ぐけど、
どこか心はそぞろ。
でも、それだけで良い気分――
嘘でも本当でも、何でも、
あなたのおっしゃることがすべて。
やがて言葉が消え、
私の首に手がかかる……
あやまることなんかありません。
たかが、死ぬだけのことでしょう?
あなたの手にかかるなら、それだけで……
いいえ、それだけが……
あなたが手折ったのは風鈴草。
一輪の風鈴草。
<了>
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