第4章 心配性の王子様

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「じゃあリクエストしちゃおうかな」 「はい、どうぞ」  とは言うものの、実はお魚をおろしたことがないし、天ぷらも作ったことがない。レパートリーも少ないので、リクエストに応えられるかかなり不安だ。 「おにぎりがいいな」  だけど予想に反して思いきりシンプルな料理。いやいや、料理のうちに入らないような気もするが。 「そんなものでいいんですか?」 「うん。あと、たまご焼きも」  もしかして料理が得意ではないのがバレてるのだろうか。それで気を使ってくれているとか? 「たまご焼きは甘めですか? それとも、だし巻きたまごがいいですか?」 「だし巻きがいいなあ」  世良さんがうっとりと答える。  嘘をついているようには見えない。本当におにぎりとたまご焼きが食べたいんだ。 「わかりました。具だくさんのお味噌汁も作りますね」 「いいねえ。その組み合わせ、最高」
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