第4章 心配性の王子様

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「それにしても意外でした。男の人って肉じゃがとか焼き魚を求めているものだと思っていたので」 「男は単純だよ。肉じゃがや焼き魚も好きだけど、基本に戻るのかな」 「ではスーパーに寄ってください。足りない食材を買わないと」 「了解」  こうして世良さんへの初めて手料理がおにぎりとたまご焼きになった。  世良さんのアパート近くにあるスーパーは深夜まで営業している。残業しても帰りに買い物ができるスーパーが近所にあるから、今のアパートを選んだのだそうだ。コンビニじゃないところが堅実だ。  スーパーに到着すると、洗濯用洗剤がないと言うので、それも一緒に買うことに。 「そうだ、ついでにシャンプーも買わないと。そうそう、キッチンペーパーもなかったんだ」  そんなことを言いながら買い物をしていると、いつのまにか買い物カゴの半分以上を日用品が占めてしまった。いつも忙しいから買い物もままならないのかもしれない。  重い買い物カゴをカートに乗せて、世良さんがそれを押す。その隣を歩きながら、まるで新婚さんみたいだなと思っていた。ほかの人が見たら幸せ夫婦に見えるのかな。なんだか、くすぐったい気分だ。
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