第4章 心配性の王子様

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「ここのスーパーは日用品も充実しているから便利ですね」 「そうなんだ。ポイントも貯まるし言うことないよ」 「ポイントなんて集めているんですか?」 「最初は興味がなかったけど、あなどれないね。一年で千円分、いやもっと貯まる」 「そんなに? すごーい!」  スーパーの買い物でこんなに盛り上がるとは思わなかった。生活感丸出しの会話も味があって、互いの価値観にも触れることができる。  同じメーカーの牛乳を買っていることを知って妙にうれしいし、減塩の梅干しを吟味している姿をかわいらしいと思う。  そして、わたしが作ったおにぎりを「おいしい」と絶賛してくれたり、だし巻きたまごを「これこれ、この味!」と気に入ってくれたりして。そんな日常もわたしの心を豊かに満たしてくれた。  世良さん、わたしは今すごく充実しています。独り身のほうが楽でいいと思っていましたが、誰かといろいろなことを分かち合うのも、悪くないなあと思いはじめています。
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