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「だめかな?」
「世良さんのお気持ちはありがたいと思っています。でもそれだと……」
「なに?」
「身体に悪いです。わたしがベッドを占領しちゃうことになるので」
「理由はそれだけ?」
「いいえ、あの……」
本音を言えなくて黙り込む。素直になれない自分が嫌になる。世良さんはいつもストレートに気持ちをぶつけてくれるのに。
「ベッドの問題だけならOKということになるよ」
「え?」
「布団を買おう。それをリビングに敷いて僕がそこに寝れば問題ないよね」
「でも……」
「さっきから『でも』ばかりだね。どうして避けようとするの? そんなに僕が嫌?」
強い意志をみなぎらせた瞳で世良さんがわたしを見る。その姿は強くてたくましい男の人。まごまごしているわたしに強引に迫ってきて、気づけばわたしは逃げ場を失っていた。
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