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それから五日経過し、今日は金曜日。世良さんのお部屋で同居をはじめてから一週間たっていた。
新しく買いそろえたシングルの布団は、今日もリビングの隅に畳まれて置かれている。両親と萌さん、そして春山社長公認の同居生活は順調だ。
今日は久しぶりに萌さんが事務所を訪れていた。
黒のパンツスーツに、濃すぎないメイク。胸もとまであるふんわりとした黒髪が揺れていた。今日も萌さんはきれいだ。
「はい、これ」
萌さんから小さな紙袋を差し出された。カウンター越しに受け取ると、かなり軽い。
「なに?」
「火事見舞いみたいなもんよ。上海では、亜矢のことが気になってお土産どころじゃなかったんだもん」
「ごめんなさい。でもありがとう」
「無難に白にしておいたからね」
「白?」
ハテナと首を傾げる。すると萌さんが、「スケスケのね」と耳もとでささやくので、急いで紙袋を開けてみた。
なかには真っ白でふんわりとしたキャミソールのようなものが入っていた。細い肩紐には小さなピンクのリボンがひとつずつ。デコルテと裾にもピンク色のレースが縁取られていた。
うわぁ、あり得ない!
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