第1章 発覚! 隠れ肉食系

2/29
3383人が本棚に入れています
本棚に追加
/273ページ
 ここは都内にあるラグジュアリーなホテルのレストラン。  わたしは目の前の人の発言に耳を疑った。だって、こんなことを誰が予想できただろう。 「今、なんておっしゃいました?」 「“結婚したい”と言ったんだよ」 「誰とですか?」 「もちろん、亜矢(あや)ちゃんと」  そう言って、まっすぐ見つめてくる彼の瞳は真剣。とても冗談とは思えない。おまけにいつも以上にフェロモンを大量生産中らしくて、男の人なのにめまいがしてしまうくらいに色っぽい。 「でも、わたしたち、おつき合いをしていませんよね?」  そうなのだ。この人とわたしはただのお友達関係。一年ほど前からふたりでお酒を飲んだり、ごはんを食べにいったりすることはあったのだが、告白すらされていない。  それなのに、いきなりプロポーズされても困るんですけど。  その前にですね、わたし、あなたの気持ちを今日、初めて知りました。  どうしてわたしなんですか?  だって、あなたは女性に不自由なんてしていないはずでしょう?
/273ページ

最初のコメントを投稿しよう!