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ここは都内にあるラグジュアリーなホテルのレストラン。
わたしは目の前の人の発言に耳を疑った。だって、こんなことを誰が予想できただろう。
「今、なんておっしゃいました?」
「“結婚したい”と言ったんだよ」
「誰とですか?」
「もちろん、亜矢ちゃんと」
そう言って、まっすぐ見つめてくる彼の瞳は真剣。とても冗談とは思えない。おまけにいつも以上にフェロモンを大量生産中らしくて、男の人なのにめまいがしてしまうくらいに色っぽい。
「でも、わたしたち、おつき合いをしていませんよね?」
そうなのだ。この人とわたしはただのお友達関係。一年ほど前からふたりでお酒を飲んだり、ごはんを食べにいったりすることはあったのだが、告白すらされていない。
それなのに、いきなりプロポーズされても困るんですけど。
その前にですね、わたし、あなたの気持ちを今日、初めて知りました。
どうしてわたしなんですか?
だって、あなたは女性に不自由なんてしていないはずでしょう?
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